So-net無料ブログ作成
検索選択

ザザムシを捕りに行こう(PG-18相当) [風景など]

 信州の郷土喰の一つに昆虫喰がある。
 蝗(稲子とも)、蜂の子、蚕(蛹)は信州以外にも喰べる地域があるが、ザザムシは信州でも上伊那地域独自の喰習慣とされる。
 少し脱線すると上伊那では蚕の孵化したもの(要するに蚕蛾)も「まゆこ」と呼び喰べる。
 上伊那出身の同僚と話していたら蚕(幼虫、要はお蚕様)も喰べるとか云っていた。
 蛹以外の蚕を喰べるのも上伊那独特の喰習慣なのだ。
 (個人的には蝶とか蛾は喰べちゃいかんものの様に思うのだが.....)
 その他喰用昆虫としては蝉、髪切り虫の幼虫があり、前者は沖縄ではポピュラーな喰材と聞く。
 北信出身の親戚のオッサンは子供の時に蝉を炒って良く喰べていたと云う。
 凄い貧乏でいつも腹を空かせていたとも言っていたので地域の風習では無く個人的な喰習慣かも知れぬ。
 東南アジアではタガメ、ゲンゴロウ、蟋蟀等が普通に屋台で売られており、昆虫喰はその気にさえなれば摂取する機会が意外と多い。
 さて、本題に戻ると佃煮状態のザザムシは当駄ブログでも何回か供覧していただいたが、喰材としてのザザムシを扱ったことが無いのが大層気になっていた。

 ザザムシ漁は毎年12月~翌2月までが解禁となっている。
 シーズンに入ると新聞の地方欄に漁の様子が掲載されるのが風物詩となっており、2012年12月2日の地方紙の朝刊にも写真入りで記事が掲載されていた。
 2012年末~2013年1月は出張が何回かあって慌ただしく過ごしていたが、2月に入って余裕が出てきた。
 そういえばザザムシ漁もそろそろ終わるので見ておかないと2013年末までお預けだなぁ........
 などと思案にふけるうちに、割烹「だるま」は自分のところでザザムシを佃煮にしているとか女将が言っていたのをふと思い出した。
 女将に漁師を紹介して貰うことにしよう。
 JR飯田線伊那市駅方面に行く用ができ、だるまの前を通りかかると偶然女将が門の所で作業をしているのに出くわした。
 ザザムシ漁師を紹介してよ、と頼むと、「ウチにザザムシを卸していた人、引退しちゃってねぇ、今年は漁協から仕入れたのよ。」と........残念。
 幾つかその他の伝手を辿ってみるも、引退していたり鬼籍に入っていたりと中々進展が得られない。
 ザザムシ漁師の高齢化が危惧されているとは聞いていたが.........。
 駄目元で漁協に電話してみると、今日会議があってザザムシ漁をしている人が来る予定なので漁を見せてくれるか聞いてみていただけることになった。
 おー、ナイスタイミング。正義は勝つ(←多分違う)。
 程無くしてコールバックがあり、観覧OKとの嬉しい答え。
 ザザムシ漁師は奇しくも2012年12月2日の朝刊に載っていたKさんで、その場で漁の日時を取り決めた。

 水辺に行くのでワークマンで長靴を事前に調達。
 約束の期日が近づいてきたが2013年は積雪を伴う降雪がチョコチョコある。
 心配していたが、当日は幸い晴れ、Kさん宅に無事到着。
 Kさんの本業はザザムシ漁師ではなく、許可証を申請して漁のシーズンのみザザムシ漁師として活躍している。
zazamushi01.jpg
 軽トラの荷台には漁の道具が準備されていた。

 天竜川の堤防道路を上流に向かい辰野町と箕輪町の境位の所が今回の漁場。
 道すがら話を伺うと
 寒い時に捕るザザムシは脂が乗って旨いんだよ。だから冬に漁をするんだよね。
 今年の漁の申請者は20余名で実際に捕っているのは10人くらいかなぁとの事。
 この辺りで仲間が良く漁をしてるけど今日は居ないね.........
 今年はザザムシが捕れなくてねぇ.......半日やると2-3 kg位捕れたんだけど、1 kg位しか捕れないんだよね。
 まぁ、でも坊主(1匹も捕れない)になることは無いよ、と。
 話をしつつ堤防道路をゴトゴトと進む。
 
 10分程で漁場についた。
zazamushi07.jpg
 堤防道路や岸辺には新雪が15 cm程積もっており全く車の轍や人の足跡が無い状態。
 狐らしき野生動物の足跡を見かけた。
zazamushi10.jpg
 Kさんは股関節まであるゴム長靴に履き替えて堤防道路を下っていく。
 河原は遮蔽物が無いので結構寒い。
zazamushi12.jpg
 岸辺の流れの緩いところは河面が一部氷結していたが中央は普通に水が流れている。
zazamushi14.jpg
 ここで鉄製のかんじきを足底に装着、魚籠を腰に付け網と鍬を持ってKさんが天竜川に入っていく。
zazamushi21.jpg
 網を自らの下流に置いて鍬で石をひっくり返す。
zazamushi26.jpg
 かんじきで石の底面を擦る作業を何回か繰り返す。
zazamushi29.jpg 
 数分でKさんが岸に戻ってきた。
zazamushi33.jpg
zazamushi37.jpg
 網を見るとザザムシがちゃんと捕れている。
zazamushi59.jpg
 平網で泥毎掬って容器に移す。
zazamushi61.jpg
 目の大きさの異なる2つの網が仕込まれており砂利や泥などを選別できるようになっている。
 本来は水の中に漬けて使用するそうだ。
zazamushi66.jpg
 20匹位捕れている。
 ちっこい沢蟹もいるね。
 
 さて、釣り川遊びの好きな方は写真を見て「はて、このザザムシとやら見覚えがあるような?」と思われるかも。
 ザザムシは特定の虫の名称では無く、トビケラやヘビトンボの幼生を総称して呼称する。
 水がザァザァ流れるところに棲むのでザザムシと呼ばれるようになったとされている。
zazamushi45.jpg
 その辺の石を引っ繰り返すと裏に砂利などが固まって付いており、その中にザザムシが潜んでいるのだ。
zazamushi49.jpg
zazamushi53.jpg
 釣りの餌にしたりすることもあるそうでザザムシ自体は日本全国の川に生息しており、単に喰べるのが信州上伊那という訳ですね。
zazamushi36a.jpg 
 赤いのはヘビトンボの幼虫で孫太郎(まごたろう)虫とか孫太と呼ぶ。
 ちょっと青っぽいのはトビケラの幼虫で青虫とも呼ばれる。

 Kさん曰く孫太郎虫の方が美味しいので市場には出ないと。
 確かに今まで何回かザザムシの佃煮を喰べたが所謂青虫のみで孫太郎虫は出て来なかった。
 ザザムシについて詳細なレポートを纏めておられるまほら倶楽部によると味以外に見た目の問題もあって自家消費になっている旨が記載されていた。

 2回目の漁に出陣かと思ったらKさんがザザムシ捕れたし、これで良い?と。

 ハイ?

 どうやら今日はオッサン(もとへ、ナイスミドル)に漁を見せるためだけに予定を入れてくれたのでした。
 ちゃんと手土産持ってきておいて良かった。
 お忙しい中貴重な時間を割いていただき有難うございました。

 無事に集合場所に戻ってお礼を言って帰ろうと思ったら孫太郎虫喰べてみる?と。
 有難く御誘いに乗らせていただく。
zazamushi67.jpg
 自分の家で煮たとのことで大きなタッパーウェアに大量にザザムシの佃煮が入っている。
 2月上旬に捕ったそうだが1 kg位はありそうだ。
zazamushi71.jpg
 Kさん気前良く皿に佃煮を載せてくれる。
 2000円分位ありそうやね。
zazamushi83.jpg
 孫太郎虫はちょっと公魚の佃煮の様な味わいがした。
zazamushi86.jpg
 水を使わず醤油、砂糖、味醂だけで煮ているそうでちょっとカリカリした喰感に仕上げてあった。
 だるまで喰べたものは青虫だけだったがブニョッと柔らかい仕上げでやはり家毎に違いが出てくるようだ。

 後継者が減ってきてザザムシ漁師は減少の一途を辿っている。
 郷土喰を守っていくために当駄ブログが微力ながら役に立てれば幸いである。

<おまけ>
zazamushi89.jpg 
 壁に俳優(仮面ライダー1号、本郷猛役で御馴染み)藤岡弘、氏との写真が貼られていた。
 ナニコレ珍百景の収録時のスナップだそうだ。
 虫モチーフの怪人を相手に百戦錬磨の藤岡弘、氏はこれも見事に摂取(2013年1月5日放映)したとのこと。
 家族には不評だったらしいが.......。

 

 
 
 
 
 
nice!(5)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 5

コメント 2

淳司

む・・・
無理です・・・(><;)b
by 淳司 (2013-05-22 00:44) 

punchiti

淳司さん。こんにちわ。
やっぱりそうですか。
カマキリやGの卵を模したパンで中を割ると蟲さんこんにちわ、は受けると思うのですが。外殻は是非蒸しパンでお願いします。
by punchiti (2013-05-23 19:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0